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内経気象学 初夏 東洋医学と気候・気象 臨床

五月の天候の影響と五月病

五月によくみられる病因病機

〇気温上昇で発汗により肝気が緩む⇒めまい、いらいら、のぼせが落ち着く(ただしストレスがあると変わらず)。

〇同じく発汗により内熱が緩む⇒アトピー・麦粒腫など軽快。

〇春の木克土と降雨による脾虚や湿困脾土⇒倦怠感、食欲不振、胃腸の調子が悪い。

〇春の肝気実・肝気上昇により腎水が吸い上げられ腎虚⇒腰痛、足が弱るなど。

〇立夏以降に気温が高い(夏の暑火の天候)と心火を生じる⇒不眠、目が赤い、精神不安。

※今年は高温傾向なので、発汗でも内熱がとれない人が多いです。キャベツなど生野菜をよく食べましょう。

 

以上を踏まえて、患者さんごとの症状と脈、舌、体表所見を合算して以下のように弁証して施術を行います。

①ストレスにより肝鬱・肝実があれば、疏肝理気・瀉肝~肝兪、後谿、百会など用いる

②体力低下や倦怠感があれば、補気健脾・健脾化湿~太白、脾兪など

③ストレスに加え胃腸の弱りや体力の低下があれば、疏肝健脾~公孫、天枢など

④腎虚なら、滋補腎陰~照海など

 

東洋医学で考える五月病

五月病は、GW以降におこる倦怠感、うつ状態、やる気がでない、微熱、食欲不振などの症状をいいます。

ウィキペディアでは

概要

日本においては、新年度の4月には入学や就職、異動、クラス替え、一人暮らしなど新しい環境への期待があり、やる気があるものの、その環境に適応できないでいると人によってはうつ病に似た症状がしばしば5月のゴールデンウィーク明け頃から起こることが多いためこの名称がある。医学的な診断名としては、「適応障害」あるいは「うつ病」と診断される。

主な症状

抑うつ、無気力、不安感、焦りなどが特徴的な症状である。主訴には、不眠、疲労感、食欲不振、やる気が出ない、人との関わりが億劫などが多い。

として精神的な問題とされていますが、東洋医学では精神的問題に加え、身体の体質傾向が影響すると考えます。

中国・清代の『時病論』という漢方の気象医学書では、疰夏(しゅか)という病気が立夏前後に発病するとされています(現代中国では夏バテのことです)。症状は五月病とほぼ同じ内容です。清代の中国にGWはないので、単に生活環境への不適応だけでなく、春から夏への季節の変わり目が身体に影響した肝実・脾虚・腎虚などの身体の状態が発症に関わっていることが示唆されます。

臨床でよくみられる五月病は、上記の①~③の状態が多いです。その人の体質を、脈、舌、体表情報から判断して、どの状態なのか決めて施術すると症状は軽快してきます。

加えて、規則正しい生活が大事で(体内時計を正常にする)、日中に太陽を浴びての散歩(ストレスを発散し抑鬱を解消し、胃腸の働きも改善します)も効果的です。

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