『暦便覧』「日南の限りを行て、日の短きの至りなれば也」
冬至は以下のように北半球では昼の長さが最も短くなる日です。天地の陽気が最も弱くなりますが、同時にこの日から陽気が次第に強くなってくる日でもあります。このことを「一陽来復」と言います。ただし実際の天候は「冬に至る」のとおり、いよいよ気温が下がり本格的な冬が到来してきます。
太極図で一年の陰陽の推移を現したもの
身体の陽気が寒冷な天候・気象で傷られやすいので保温に努めましょう。また太平洋側では乾燥が強いので湿度管理を心がけましょう。病気ではインフルエンザ、感冒、ウイルス性胃腸炎に罹りやすく、高血圧、心疾患が悪化しやすいので予防を心がけましょう。
二十四節気の一つ。春分,夏至,秋分とともに四季の中央におかれた中気。冬至は太陰太陽暦の 11月中 (11月後半) のことで,太陽の黄経が 270°に達した日 (太陽暦の 12月 21日か 22日) に始り,小寒 (1月5日か6日) の前日までの約 15日間であるが,現行暦ではこの期間の第1日目をさす。この頃,太陽は天の赤道の南側で最も離れるので,北半球では昼間の長さが最も短い。
【ブリタニカ国際大百科事典】
冬至にゆず湯に入り、カボチャを食べる風習があります。
ゆず湯には、美肌効果、保湿効果、かぜの予防、血行をよくして身体を温める、ストレスを解消して精神安定作用など多くの効果があります。
カボチャはβカロテン、食物繊維、豊富なビタミンなどが含まれ、粘膜の保護、皮膚を強くする、免疫増強、腸内環境を整えるなどの効用があります。漢方での「肺」「脾胃」の働きをよくします。乾燥・寒冷で陽気の衰えてくる冬の季節にあった食材ですね。
【小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)】の解説
この日は太陽の光が弱まり植物も衰弱して農耕生活に一種の危機が訪れるとともに、またこの日からふたたび昼の日照時間が長くなり、新しい太陽が輝き始めるときでもある。したがって、世界の諸民族の間にも、この日を陽気の回復、再生を願う日、また太陽の誕生日とするような観念がうかがえる。中国では天子が冬至の日に天を祭るのを郊天の儀といい重要な儀式である。また西洋のクリスマスも、もとは陽気回復を祝う風習がその背景にあったのだといわれる。
世界的にこの日は一陽来復、農耕の再生の力をもたらす神聖な旅人が村にやってくる日と信じられ、日本では弘法大師(こうぼうだいし)が村を巡るという伝承が広く伝えられている。小豆粥(あずきがゆ)や団子をつくって供える大師講(こう)の行事がこの旧暦11月23日夜から翌日にかけてみられる。また、冬至唐茄子(とうなす=カボチャの事)などといってカボチャを食べたり、コンニャクを食べる風習があり、カボチャを食べると中風(ちゅうぶ)にならないなどともいわれている。またこの日は柚湯(ゆずゆ)に入るという風習も一般的である。いずれも衰弱からの再生という冬至をめぐる観念に呼応する儀礼といえよう。[新谷尚紀]
『『年中行事』(『定本柳田国男集13』所収・1963・筑摩書房) ▽和歌森太郎著『年中行事』(1957・至文堂)』
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