古くから薬局で販売している一般向けのお灸の袋に百姓万平のお話が載っていましたが、叔母より橋本家に百姓万平の伝聞を記した巻子が伝わっていると聞き,随分最近になって実物を見せてもらいました。また,この文書については,他の伝書とともに「百姓万平を追って」(絶版かも)※に紹介されています。
巻子の後半部分
三河の国の百姓万平は,200有余歳の長寿であったといくつかの伝書に残されている伝説の人物です。巻子をみると以下のように記されています。
松平伊豆守様領分
三河国飯式郡小家村 百姓萬平 当辰二百四十三才
右萬平……(略)
慶長七壬寅年七月生 萬平 二百四十三才
元和九癸亥年三月生 萬平妻 二百二十二才
慶安二巳丑年丑九月生 倅万吉 百九十六才
承応元壬辰年辰八月生 万吉妻もん 百九十三才
元禄八乙亥年申八月生 万吉倅万蔵 百五十三才
同七■年八月生生 万蔵妻やと 百五十一才
右長命之義御別段養生不仕毎月両足三里灸治仕候
(以下略)
万平243歳!!!これはとんでもない長寿です(^^;。また、吾が一族は(旧暦の)月初めより八日間足三里に灸をしていたからであると答えた,と記されています。足三里は脾胃(胃腸や免疫系統の働き)の働きを強化するツボでここへのお灸は体力増強、食欲増進の効果があります。新月の最も体力の低下した時期から灸をすることは理にかなっているのですね。
ただし、内熱の強い人(口渇して冷飲、暑がり、舌が平均より赤い、または舌苔が奥の方で剥げている=陰虚内熱)は足三里のお灸をすると更に熱が盛んになるので控えましょう。
例えばこんな舌~乾燥して紅舌傾向
とんでもない長寿はさておき、江戸時代に『黄帝内経』の気象医学説を淵源とする月の満ち欠けを考えて灸がされていたことを示していると思います。
※参考:『内経気象学入門』P144-146参照。『百姓万平を追って』2000年6月鍼灸素霊会出版
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